秘密

Tom2003-12-28



■ 著者: 東野圭吾

■ 出版社: 集英社 ; ISBN: 4167110067 ; (1998/09)

☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆(涙なしには終われないエンディング!) 

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秘密文春文庫


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■Tomの本にもの申す

3年ぶりに涙が流れ出た。ワイフに絶対泣くといわれ、その通り、いや期待以上に泣いた。

スキーバスの転落の災難で母が死亡、娘は脳の精神状態が危ぶまれたものの、命を取りとめた。ところが、姿かたちは娘そのものだが、精神は母が宿っていたのである。この事実を知っているのは、夫のみ。不思議な父娘関係の11歳から25歳まで様子を描く。娘が成長するにつれ、徐々に本来の夫婦関係から親子関係へと変わっていく複雑な人間の葛藤が手に取るように表現されている。この「葛藤」の描写こそこの小説の醍醐味である。

前回の東野圭吾白夜行の雪穂もそうだったが、今回の直子にもつくづく女の強さを見せつけられた。やはり男は女にはかなわない生き物なのだと再々認識させられた。

愛する人のために自分はなにをすることができるか。このことをいつも頭にいれておきたい。それがこの小説から学んだことだ。