アメリカ大統領選を終えて

ふたを開けてみれば、ブッシュ当選いう結果になった。結果については既にみなさんメディアを通じてご存知だと思う。政治的な評論は専門家に任せて、ぼくはこのメディアを通じて、ぼくの目からみた大統領選、アメリカという国について少し述べてみたい。

●西海岸と東北部、五大湖周辺はブルー、中部、南部がレッド

ぼくはカリフォルニア在住である。カリフォルニはご存知の通り、ブルーの州、つまり民主党ケリー支持の州である。シュワ知事が共和党だとうことはまったく関係ないことはなんとも面白く感じる。どちらかといえばローカルのテレビや新聞を見る機会が多いので、ケリー優勢だとずっと思っていた。それだけに今回のブッシュ勝利には正直意外な感じを受けた。

意外な感じは、赤と青がきれいに分かれたアメリカの選挙マップをみて、違和感へと変わった。
http://news.yahoo.com/electionresults

つまり、西海岸と東北部、五大湖周辺の国際的な州ではケリーが勝ち、中部、南部のドメスティックな州ではブッシュが勝ったのだ。

ぼくはアメリカは国際社会の中心だとおもっていたが、その国の大統領を決めるのにドメスティックな勢力が強く影響していることを目の当たりにした。アメリカは世界のアメリカではなく、アメリカのためのアメリカだということに強くショックを受けた。


●選挙人制度

アメリカの大統領選挙は、直接選挙ではなく、大統領候補に投票する選挙人を各州で選ぶ間接選挙だ。つまり、総投票数(Vote)ではなく、過半数を制した州に割り当てられた選挙人(Electoral Vote)の数の総和で勝負が決まる。

開票が遅れたオハイオ州は20票を有している州であり、ブッシュがオハイオを制覇したことが、ケリーの敗北宣言へと繋がった。ブッシュ272に対してケリー252である。オハイオがブッシュ51%、ケリー49%でブッシュが20票まるまるもっていったことを考えると、ブッシュ僅差の勝利といえよう。勝負は最後の最後までわからないものだ。


●敗北宣言

ケリーの敗北宣言は実にすがすがしかった。多くの人の拍手に迎えられ、最初の数分はThank youを連発していた。悔しそうな表情は一度も見せず、勝者におめでとうと電話を入れたことを冒頭に述べた。スピーチの中で印象に残ったフレーズは以下のフレーズ。

Today I hope we can begin the healing.

全米中の注目の的であるイベントが終わったことは確かだが、選挙が終わってブッシュが続投という結果で、healingとは皮肉である。傷ついたケリーはhealingして欲しいとおもうが。


●勝利宣言

実に自信にみなぎるスピーチであった。ブッシュは自分の勝利を確信していたに違いない。お約束の通り、関係者に礼を述べた。家族から始まり、副大統領、そしてキャンペーンチーム、投票してくれた方々に。キャンペーンは終わったが、大統領としての仕事はこれからである。再選だが、ブッシュは数々の公約を口にしている。

アメリカの政治はアメリカのみならず、世界の政治経済に多大な影響を及ぼすことは周知の通りだ。僅差で勝利しただけに、なにかにつけて批判されることもあるだろう。そうでなくとも常に批判の対象であったわけであるし。

人を批判することは簡単だ。支持するかどうかは個人の勝手であるが、政策にどう対応するかも個人次第である。変化の時代には変化をうまく味方につけて波に乗る処世術と本質を見分ける嗅覚をみにつけたいものだ。

'God bless you and may God bless America. '
敢えてぼくは、'God bless the world'と付け加えたい。

スピーチの全文はこちらから。
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20041103/ap_on_el_pr/eln_bush_text&cid=694&ncid=1926


●選挙権がない

ぼくは、日本人であるから当然アメリカ大統領選の選挙権を持っていない。この選挙をただ指をくわえて傍観していただけである。もし、仮に選挙権をもっていたら、どちらに投票したか、、、敢えて答えるのはやめておこう。

ただ、これをもって選挙権の大事さを真剣に考えるようになった。政治経済学部の授業で学んだことより、実社会での経験のほうがはるかに人を動かす力が強いものだ。

日本の在外選挙には既に登録した。次回の日本の選挙では、必ず投票する。投票は国民に与えられた権利であるが、それを放棄したくないと思った。それが民主主義の社会に生きるということであると解釈する。