クリティカルチェーン

Tom2004-06-07


● 著者: エリヤフ ゴールドラット

● 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478420459 ; (2003/10/31)

● おすすめ度 ☆☆☆☆★(プロジェクトにまつわる誤解を紐解きたい方へ) 

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クリティカルチェーン―なぜ...



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ボトムライン

プロジェクトに遅れと、予算オーバーはつきもの?
プロジェクトにTOC(制約条件の理論)を適用し、人間行動の特徴をマネージメントに織り込め。


●Tomの本にもの申す

プロジェクト・マネージメントの理論体系はあれど、それを実行するのは「人間」だ。人間は弱い存在であるから、次のようなヒューマンエラーがプロジェクトにおいても多々見られる。

一、掛け持ち作業:所要時間が大幅に延びてしまう
一、セイフティー:必要以上に見積もられる
一、学生症候群:時間があってもギリギリまで何もしない

ならば、作業に期限を設けず期間だけを設け、早期着手/早期完了を目指し、プロジェクト全体でバッファーを設ける考え方を筆者は提唱している。プロジェクトの実際においては、兼任のプロジェクトメンバーも多くいるため、通常業務とプロジェクトとのプライオリティー付けをすることがマネージメント上のキーとなるだろう。

一方、サードパーティーがプロジェクトを受注した場合、プロジェクトは変更で儲けているという公然とした事実がある。これではサアードバーティー側にプロジェクトを早期完了、いや予定どおり完了する意欲が湧かないのは当然といえよう。予定通り完了したらプロジェクトボーナスを、予定より遅れたらペナルティーを科すという契約が有効と筆者は説く。しかしながら、プロジェクトの実際においては計画段階でクライアントの要求がまとまっていないことが多いため、ぼくの経験からするとこの種の契約はリスクが伴うといわざるを得ない。

最後に、「お金はドルで、投資はダラーデイズで考える」と著者は云う。プロジェクトが遅れることによる損失を考えるための目から鱗的な発想の転換だ。タイム・イズ・マネー、早期の決断が時間をセーブしてくれる。失敗はしても、取り返しのつく失敗をすること。その際には軌道修正する手間を惜しんではならない。


●心に響いた言葉

コストワールドに従ってマネージメントすることと、スループットワールドに従ってマネージメントすることは矛盾しているのか(矛盾しない方法は必ずある)。