転生

Tom2003-10-16


■ 著者: 貫井徳郎

■ 文庫: 461 p ; サイズ(cm): 148 x 105

■ 出版社: 幻冬舎 ; ISBN: 434440324X ; (2003/02)

☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆ 〜 貫井さんまたまたやってくれました!

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転生幻冬舎文庫

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■ ボトムライン

心臓移植の患者に、臓器提供者の記憶が移るなんてことがあるのだろうか。地の滴るようなステーキが食べたくなったり、甘いものが好きになったり、絵が上手くなったり、聞いたこともないショパンの曲に自然と指が動いたり、、、
心臓移植をはじめとした臓器移植は脳死を前提に成立するが、脳は死んでも記憶は死なないのか?一体だれの心臓をどうやって患者は手に入れたのか?死後5時間以内に完了しなければならない難しい心臓移植の時間差を解くトリックとは??現代医学のおそろしい闇をあなたも知ってみませんか?

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■ Tomの「本に物申す」

臓器移植という社会問題に一石を投じる作品。あなたはドナーカードというものの存在を知っているだろうがサインはしていないはずだ。だが身内や友人で臓器移植を経験していれば話は別だ。それほど一般の人には臓器移植という世界は縁遠い。そもそも臓器移植は脳死を前提にするといういかにも胡散臭い商売だ。延命措置といえば聞こえはいいが、生きている人を殺して臓器を移植するわけである。そこには当然倫理的な問題がはらんでおり、そして供給より需要が多い市場では金銭の問題が絡んでくる。実にどろどろとした世界である。

あなたはこの作品を読んでドナーカードにサインをするだろうか?

貫井さんの本を読むと周りが一切見えなくなる。自分がバスになったようでルアーでぐいぐいと引っ張られていく感覚だ。最後まで一気に読みきってしまいたい。従って読むにはパワーを要する。覚悟したほうがいい。でも読みきったときのやられた感はまた次の作品を読みたい気持ちにさせる麻薬のようだ。