2003-12-06 SPHR試験


(これは2003-11-20に書いた未来日記です)

いつになく緊張した趣きで試験会場に向かう。ぼくは今、車で自宅から20分ほどのところにあるサンタクララ大学に向かっている。ドライブしながら山々が緑の草で覆われているのが視界に入ってくる。カリフォルニアもすっかり冬になったものだと感じれるほど今日のぼくは落ち着いている。それもそのはず、今日この日に向けて見たいテレビもネットサーフィンも我慢してしっかりと試験の準備してきたわけだから。

この試験はぼくにとって重要な意味を持つ。試験にパスするということは、アメリカのHuman Resourcesのプロとして認定されるということである。これで初めてアメリカ人と対等な就業機会が持てるのである。日本での人事の経験があるとはいえ、アメリカで日本の労基法の知識は意味をもたない。いちからアメリカの法律、判例、人事制度、給与制度、研修制度等々アメリカで通用する知識こそが試されるのだ。

いままでやってきた人事の職務経験は、経験則からくる判断をする際には役立つが、日本とアメリカで根本的に考えが異なることも多々ある。例えば、アメリカでは、Employment at willといって、法令に反しない限り、採用するも、解雇するもすべてが雇用主の自由であるとされているのに対して、日本では、採用こそ雇用主の自由が憲法にて与えられているものの、解雇については労基法にてがんじがらめに制限されている。

アメリカのHRで1年間働いた証として、この試験にパスしたい。ちなみに今勤めている会社のHRのマネージャークラスの半分はSPHRの資格を保持している。「やあ、Bob」試験会場の同じ部屋に彼の姿を見つけ声をかけた。Bobはぼくの直属上司で、ともにSPHRのクラスに毎週一緒に通っていた仲である。つまり、マネージャークラスでSPHRの資格をまだ取得していないのは、Bobとぼくともう一人(イギリスからの出向者)だけなのである。それほどSPHRの資格はHRの世界においてはデファクトスタンダードになっているのである。

ベルが鳴った。いよいよ試験開始である。これから4時間の間に225問の問題を解く。70%正答が合格ラインだ。落ち着いて一問一問攻略していく。。

まだ30分残っている。全部の問題を終え、自信のなかった問題に再度とりかかる。大体こういうときはファーストインプレッションが大事で、よほどの論拠がない限り答えは変えない。そうすることで自分は今まで試験にパスしてきたからこれは一種のおまじないである。ベルとともに試験は終了した。

1週間後、ポストに通知が来た。「Congratulations!」。合格の通知だった。