出向や転籍など労働契約手続きを法制化へ

●ニュースヘッドライン

厚労省が、2007年度目処に出向や転籍など労働契約手続きを法制化する検討をはじめる。(NIKKEI NET 2004/03/23)
http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/kekka.cfm?id=2004032300387


●人事の処方箋

契約書といっても日本人は契約文化に慣れていないため、専門化が雛形をつくって普及に努めるべし。


●Tomのもの申す

日本では個別労働契約より、包括契約の方が一般的だ。新卒で会社に入社した人などは、内定書の紙切れ一枚で、会社に入社することを約束し、「入社する」かなんかの一言書かれた辞令を受け取り包括労働契約がはじまる。

そこでは、行動規範、倫理規定、就業規則、給与規程、旅費規程などの規程や労使協定、(労働組合があれば労働協約も)そして運用ルールによって労働者の行動が取り決められている。

包括契約だけに、表現は一般的で曖昧だ。玉虫色の表現といえよう。

特に問題になるのは、雇用に関すること。それ故、出向や転籍に至っては、個別労働契約の出番がやってくる。とはいえ、その個別契約すら曖昧であるゆえ、トラブルが発生。それを抑えるのが今回の法制度化の目的だ。

終身雇用制度が崩壊した今、契約関係を見直すことは柔軟な労働力確保のために欠かせない。契約を労働者の有利に進めるには、自分を売り手市場に置くこと、つまり自分の価値を高めることが有効だ。少し大げさにいうとプロ野球選手の契約に近い状態がサラリーマンにもやってくる。インセンティブはすでに当たり前、目標管理の目標を達成したら年俸5割り増しだとか、複数年契約だとか。

プロ野球選手も最初は自分で年俸の契約更改をしていたが、最近は弁護士などの専門の代理人が契約更改を依頼するケースもみられる。契約は契約の専門家にアウトソースするというビジネスはスポーツ界にも存在する。契約は専門性が問われるゆえ、サラリーマンの契約にも専門家の関与は欠かせない。専門化が契約の雛形を作ることで、労使にとってトラブルの少ない契約関係が発展することを期待したい。