自分のフィルター

100の瞳はある老人へと注がれている。今まさにその老人は今日のもっとも大事な格言をいわんとしている。「今日のもっとも大事なポイントを今から言います。今日のもっとも大事なポイントは、、、(沈黙すること1分)」


まさかいう言葉をど忘れしたのか?いやそれとも気分が悪くなって発作でも始まったのだろうか?だれしもがそのような想像を張り巡らせていたその長い間をようやくその老人が遮った。


「ではいまみなさんがそれぞれ思ったことを隣の人と意見交換してください。」


やられた。完膚なきまでにやられた。ぼくらはまんまとこの老人のペースにはめられてしまったわけだ。この老人、本当に容姿は老いぼれそのものだが、PhDを持っており、研修会社から派遣されて、今日ぼくらコンサルタントにプレゼンを披露している。


この老人いわく、「人はそれぞれ自分のストーリーをつくっている。しかしそのストーリーは本人が思っていることと必ずしも一致しない。一致しないところに人間の摩擦が生じる。」


人は人。自分は自分。人の気持ちはおもんばってばかりおらず大事なときはきちんと確認しよう。こうに違いないと決め付けてしまうことはとても危険なことだ。